パナソニック株式会社事業開発センターXRプロジェクト
装着しやすく見えやすい軽量小型の弱視支援グラスを提案。
世界を変えるきっかけにする。

装着しやすく見えやすい軽量小型の弱視支援グラスを提案。 世界を変えるきっかけにする。

弱視支援グラス開発メンバーのみなさんにお話をうかがいました!

今回考案したアイデアの紹介をお願いします!

小型軽量の弱視支援グラスの開発にチャレンジしています。

佐藤さん 弱視支援グラスを、スペインのBiel Glasses社と共同で開発を行っています。Biel Glasses社は、以前からあるVRグラスを使い、弱視の方向けのソリューションを持っていましたが、今回私たちが開発したのは小型軽量タイプであるところが大きな特徴です。弱視の方が日常的に使いやすく、かつ高画質であるところにアドバンテージがあると思います。

ひと言で弱視といってもいろんな症状がありますが、今回は主にトンネルビジョンと呼ばれる、視野が欠損して、一部しか見えない症状が対象になります。そうした障がいがある方が、このグラスを装着することで自由に動けるようになることが、私たちの取り組みの究極の目標です。

盲導犬を利用する方もいますが、盲導犬の育成には時間を含めて大きなコストがかかりますし、必要とする方全員に行き渡るわけではありません。デジタルデバイスを開発することで、より多くの方々を支援できると考えています。

発案のきっかけは何ですか?

企業の社会的責任、さらにスペイン企業との出会いがきっかけでした。

佐藤さん 弊社としては高画質・軽量を特徴としたVRグラスの開発を進めています。開発を発表すると、スペインから突然連絡があり、それがBiel Glasses社でした。

Biel Glasses社は、CEOとマーケティングのトップがご夫婦なのですが、お子さんが弱視で視野欠損があるということ、また、マーケティングの方は眼科医で、医学的な知見もお持ちであることから一緒に開発することの意義を感じ、共同開発という形になりました。

利用された方からはどのような声が寄せられていますか?

お披露目となる舞台で、1人でも多くの方に体験してほしいと思っています。

佐藤さん Biel Glasses社のグラスは既にヨーロッパで販売され、好意的な評価をいただいています。ただ、その製品は私たちからすると大きく、重いため、まだ改善の余地がありそうでした。

そこで私たちに声をかけていただき、プロトタイプの開発に着手しました。医療系の機器については、国によって法律の規制なども変わっていくため、それを1つずつクリアしながらの製品化が必要です。

今の段階で、このプロダクトを日本国内で公的に装着し、体験してもらったケースはありません。今回のイベントが初めてになります。個別に体験していただいたことはありますが、最初はみなさん驚かれるようですね。

実証に向けて苦労していることは何ですか?

軽量化と装着感のバランスを取るところに苦労しました。

佐藤さん このプロジェクトはステークホルダーが多く、そこにBiel Glasses社も加わったため、目指す方向のベクトルを揃えるところが、個人的には苦労しているところです。

中西さん 私は電機設計という立場でプロジェクトに関わり、基板回路の開発などを行なっています。装着し、遠方まで出かけていただきながら、高画質のまま使い続けられるように取り組んでいるところです。バッテリーに関しても、携帯用の大きさと容量のバランスについては検討が必要だと思います。

藤原さん 私は機構面の担当ですが、軽量化と、それぞれの人に最適な装着感を実現するのが難しいところです。

近藤さん レンズに入力してから実際に映像が映るまでに遅延があると、とても気になります。それをなくし、安全・安心に使えるようにしていきたいと思います。

本コンテストに参加した理由を教えてください!

非日常の場で、私たちの技術でどこまでできるかを知るために応募しました。

佐藤さん このイベントの魅力は、サーキットという非日常的な現場で行われるところにあると思います。

弱視の方にとって、歩き慣れた自分の家やその周辺ではなく、普段行かない場所でも安全・安心に移動でき、楽しい体験ができることを知るきっかけになってもらえればいいと思います。

小塚さん Biel Glasses社のヨーロッパでの取り組みは、あまり人の多くない環境での使用を想定しているようですが、サーキットは人が多く、置かれているものも多いため、グラスでどこまで認識できるかを確認したいです。坂があったり、階段の傾斜がきつかったりで、難易度は高いと思いますが、私たちの技術でどこまでできるのか知りたいと思います。

本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?

リアルな装着感と、屋外使用に耐える防水防塵性を確認していく予定です。

佐藤さん このグラス自体、まだ実用段階ではないため、まずいろんな方に体験していただくことが目的になります。健常者の方に体験していただくのはもちろん、弱視の方にも体験していただき、生の声をフィードバックしたいと考えています。また、屋外で使用することにもなるため、防水性、防塵性についても確認したいと思います。

最後に本コンテストにかける想いをお願いします!

誰でも安心して楽しめる社会実現の第一歩にしたいと思っています。

奥村さん 実際に弱視の方に使っていだたくと、ネガティブな要素、例えば転倒してしまうことがないとも限りません。そういうことを1つずつ、実証実験を通して潰していくプロセスが先に進むためには必要です。今後の普及に向けて、大きな一歩になることを期待しています。

近藤さん 装着することの安心感、また不安があれば、どんどんヒアリングしたいですね。

中西さん いろんな方に装着していただきながら、軽量化の面で、どんな反応があるかを確認したいと思います。

佐藤さん 障がいのあるなしに関わらず、誰でも安心して楽しめる世界をつくるのが私たち企業のミッションです。弱視の方を支援するグラスが1つのきっかけになり、応用展開できる可能性を探っていきたいです。そして、誰でも生きることを楽しめる世界の実現に貢献していきたいと思います。

装着しやすく見えやすい軽量小型の弱視支援グラスを提案。 世界を変えるきっかけにする。
【パナソニック株式会社事業開発センターXRプロジェクト】実証チーム紹介 | Mobility for ALL 2023
プロジェクト代表者
代表者写真
プロジェクト代表者
佐藤 和樹
1993年入社。プロ用音響機器事業における設計/事業企画業務に従事。
2006年より欧州/日本/アジア地域向け民生テレビ商品企画を担当。
2019年より現職であるパナソニック株式会社事業開発センターへ異動、新規事業開発企画スタッフ業務およびXR事業における商品企画を担当。
弱視者自律移動支援、視覚情報サポートスマートグラスプロジェクト
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