With My Eyesプロジェクト(株式会社QDレーザ)
デジタル一眼+ビューファインダーで新たな価値を生み出す。
見え方の支援だけでなく撮影する楽しみ方も提案したい。

デジタル一眼+ビューファインダーで新たな価値を生み出す。 見え方の支援だけでなく撮影する楽しみ方も提案したい。

「With My Eyes」プロジェクトと開発の内容を宮内さんにうかがいました!

今回考案したアイデアの紹介をお願いします!

不便の解消だけでなく、プラスの価値も提供できるシステムです。

宮内さん カメラと組み合わせて使う、網膜投影ビューファインダーを開発しています。

レンズが映した映像を網膜に向けて直接投影するプロジェクターのようなもので、装着することでロービジョンの方もレース観戦、写真撮影ができるようになります。今まで不可能と思われていたことを、技術の力で実現したいと思います。

背景にあるのは「With My Eyes」というプロジェクトです。視覚障がいのある方を支援する製品開発は2015年から行っていますが、障がいのある方の全員が不便を感じているわけではなく、前向きに生活されている方も大勢いらっしゃいます。そこで、マイナスをゼロにするのではなく、プラスの価値を提供できる製品を開発することに決めました。

見え方を補助するだけでなく、写真を撮影したり、動画を撮ったり、クリエイティビティを発揮していただけるよう開発に取り組んでいます。

発案のきっかけは何ですか?

デジタル一眼カメラの高画質を、改めて感じてほしいと思いました。

宮内さん 構造上の特徴は、市販のデジタルカメラとビューファインダーを合体させているところです。コンパクトなデジタルスチルカメラと組み合わせたカメラキット(DSC-HX99 RNV kit:写真右)はすでに販売しています。今回の実証では、さらに画質や性能に優れたデジタル一眼カメラと組み合わせるプロトタイプ(写真左)を開発しました。

網膜投影の技術に関しては以前から取り組んでいた領域でもあり、土地勘のようなものがありました。カメラモジュールを内蔵した製品も発売していますが、この製品では画質や光学性能に優れたデジタルカメラと合体して使う方向としました。そうして採用したのがソニー製のカメラだったのです。

スマートフォンの利用もありえたのですが、よりクリエイティビティを発揮できるデジタルカメラと組み合わせることとし、その部分をソニーさんに強く共感いただけたことは開発が大きく進むきっかけになったと思います。

利用された方からはどのような声が寄せられていますか?

見えなかったもの、見えにくかったものが見えるよろこびを感じてもらえました。

宮内さん 個人差はあるものの、このデバイスの網膜投影によって「見えなかったもの、見えにくかったものが見えるようになった」という声を聞くと、こちらもうれしくなります。

この製品を世に出してよかったと思うのは、行動変容というのか、カメラを持って「あそこに行ってみよう」「こんな写真を撮りたい」と新しいことにチャレンジしようと前向きな気持ちで行動する方がいることです。

「With My Eyes」のコンセプト通りに、今までなかった付加価値を提供できているんだと実感しています。

実証に向けて苦労していることは何ですか?

性能とスケジュールのバランスをふまえた2系統の開発に苦労しています。

宮内さん 今回のプロジェクトが始まってから、およそ3か月で実証実験を迎えるというスケジュールです。その中でデジタル一眼カメラ向けのプロトタイプを開発します。

早く進めなければいけないし、納得できる性能のものを作らなくてはならない、その両立が最も苦労するところでした。対策として考えたのは、2系統で開発を進めることです。

1つは、既にあるシステムに最小限の変更を加え、スケジュール優先で進めるもの。もう1つは、プロジェクターの構造も含め全体的な見直しを行う開発で、これは時間がかかります。2つの開発を並行して走らせることで、性能とスケジュールのバランスを取って進められるように考えています。

本コンテストに参加した理由を教えてください!

リアルの感想をフィードバックいだたき、開発の糧にできると思いました。

宮内さん デジタル一眼カメラを使って「見る」、「撮影する」を体験していただくため、ロービジョンの方が使ってみた感想、リアルの声を開発にフィードバックさせるのが目的です。

私たちはどうしても技術寄りの思考に傾きがちですが、実際に障がいのある方が使って、どう感じるかが重要なポイントです。サーキットで使っていただき、そこで感じたことをどんどんフィードバックしていくことが、今後の開発の糧になると確信しています。

本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?

レースシーンを撮影することで、外出の楽しさを知ってもらう予定です。

宮内さん 開発したデバイスを使い、ロービジョンの方にレースを五感で感じてもらい、実際に写真撮影を行っていただきます。

ロービジョンの方が外出しようとすると、移動中に多くの困難があり、出かけることをためらう方もいるようです。移動はもちろん、走行するレースカーを撮影する体験を通して、外出の楽しさを感じていただこうと思います。

写真はスマートフォンで、という方が多い今、高性能デジタル一眼カメラにふれる機会は少ないでしょう。写真撮影そのものが新しい挑戦になるでしょうし、いわゆる流し撮りにもぜひチャレンジしてほしいです。技術的にはかなり難しいようですが、何度失敗してもいいので、時間の許す限り試してほしいと思います。

サーキットでレースを見るのは私自身も初体験なのですが、実証に参加されている方の驚く顔をたくさん見たいです。

最後に本コンテストにかける想いをお願いします!

マイナスをゼロにではなく、新たなよろこびをプラスするのが私たちの使命です。

宮内さん 「With My Eyes」のコンセプトにある通り、マイナスをゼロにするのではなく、新たな価値をプラスすることを強く願いながら、このプロジェクトに取り組んでいます。多くの方に新しい体験を楽しんでいただけるよう、しっかりと準備を進めていきたいと思います。

デジタル一眼+ビューファインダーで新たな価値を生み出す。 見え方の支援だけでなく撮影する楽しみ方も提案したい。
【With My Eyesプロジェクト(株式会社QDレーザ)】実証チーム紹介 | Mobility for ALL 2023
プロジェクト代表者
代表者写真
プロジェクト代表者
宮内 洋宜
銀行系シンクタンクでキャリアをスタートし、環境・エネルギー・交通などの分野で新技術を用いた新規事業の創出支援を手掛ける。
2015年にQDレーザ入社、網膜投影製品の事業開発、薬事、広報などを担当し、2023年より事業推進室室長。東京大学理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。
レーザ網膜投影で感動を瞳に。ロービジョン者によるレース観戦・撮影
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