株式会社袖縁
障がいのある/なしの垣根を越えるアプリを開発。
人と人の心が通う共生社会を実現したい。

障がいのある/なしの垣根を越えるアプリを開発。 人と人の心が通う共生社会を実現したい。

アプリ発案者の友枝さんにインタビューしました!

今回考案したアイデアの紹介をお願いします!

困りごとに直面したとき、インターホンのようにつかえるツールを開発中です。

要配慮の方が外出したとき、例えば駅で困りごとに遭遇したら駅員さん、お店にいるときなら店員さんに、インターホンで呼び出すような感覚で通知が届くアプリになります。

要介護の方には、障がいのある方はもちろん、高齢者、ベビーカーのお母さんも含んでいますし、翻訳ツールに対応すれば外国人も含まれるかもしれません。「ピッ」とボタンを押すと、対応できる人が来てくれれば、外出の不安を取り除けるでしょうし、出かけるのが楽しくなるでしょう。そんな環境を提供したいと考えています。

困りごとがあった場合、援助を受ける側も、援助する側にも不安があるでしょう。援助する側の場合、どうすればいいのかわからないため、手を差し伸べるのを躊躇してしまう人もいるはずです。

このアプリにはトリセツと呼ばれるものがあり、自分の要配慮点はどこにあり、どんなとき、どうしてほしいかが書かれています。通知を受け取った側は、そのトリセツを見ることで、何が求められているかがわかります。お互いに安心できるような運用ができるかが、重要なポイントです。

発案のきっかけは何ですか?

私たちは気づかなくても、世の中には障がいのある方にとっての困りごとが多いと感じたためです。

会社の同僚が区の体育委員をやっていて、そこに来る視覚障がいのある方と仲良くなって話していると、「欄干のない橋を歩いているようで、駅が怖く感じます」と。普段、私たちが気づかなくても、障がいのある方にとっての困りごとがあちこちにあることを知り、それをなんとかしたいと思ったのが始まりです。

駅で通行する人をよく観察すると、多くの人が歩きながらスマホをいじっており、前を向いていません。イヤホンで音楽を聴き、音を遮断している方もいます。自分が点字ブロックの上を歩いていることに気づかず、前からやってくる視覚障がいのある方と衝突しそうになる人もいました。そこに課題を感じ、スマホをいじっている人に視覚障がいのある方が近づいていることを教えてあげられれば、少なくとも進路をゆずるくらいはしてくれるだろうと考えたのが、最初の素朴なアイディアでした。

利用された方からはどのような声が寄せられていますか?

「障がいのある方に、自然に対応ができるようになった」という声もありました。

一番うれしい反応は「夢のようなアプリ。これでまた安心して出かけられます」というものです。

好意的な声をたくさんいただきますが、「ヘルプマーク、ヘルプカードの逆バージョンとして使えたらいいですね」という声もありました。どういうことかというと「私は困ったら袖縁アプリを使うから大丈夫です」。そう意思表示したい、というわけです。

駅の改札に白杖をついた人、車椅子に乗っている人がいたとします。「大丈夫ですか?」と声をかけてくださる人がいますが、実は人を待っているだけで、特に困りごとがあるわけではない、というケースもあるのです。

白杖、車椅子というだけで、何か困っていると見られるのは嫌だという人もいます。お気持ちはありがたいのですが、声をかけられて、自尊心が傷つくというか、複雑な気持ちになる方もいるのです。

袖縁アプリを表示しておけば、それは声をかけていただかなくても大丈夫なサイン、という使い方も開発の1つの方向性かもしれません。

実証に向けて苦労していることは何ですか?

時間が限られるなかで、どう新しい機能をつくり込むか難しいところです。

新しい機能をつくり込んでいるところですが、時間に限りがある中で、アプリ開発側の担当者とのやりとりは大変です。短い時間で本当に開発できるのか。お互いのサービスをよりよく知った上で、次につなげていきたいが、それが形になるのか。いろいろ見極めながら、もう少し詰めていくつもりです。

本コンテストに参加した理由を教えてください!

運営がしっかりしているイベントで、自分たちの取り組みを試すのが目的です。

運営がしっかりしているイベントで、胸を張れる結果を残したい、と考えたのが決め手になったと思います。ここでしっかり取り組み、結果を残して、いろんな方々に私たちのやっていること、目指す社会像を知ってもらえるチャンスだと思いました。

本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?

サーキットで、このシステムが本当に有効かを確認していこうと思います。

要配慮の方々がモビリティリゾートもてぎで過ごすとき、袖縁アプリがあると、本当に過ごしやすいのか。安心感、快適さが向上するのかというところを、しっかり確認したいと思います。

ここで達成できたことは、他の場所でも、日常の暮らしの中でも展開できるはずです。また新しい挑戦としては、他の障がいのある方向けサービス提供者と連携して、どんな相乗効果が生まれるかも見てみたいと思います。

アプリはほぼ完成し、バージョンアップしているところです。具体的にはビデオ通話の機能で、ビデオ通話だけだとロービジョンの方はちょっと使いづらいので、チャットもできるようにつくり込んでいるところです。

この前、サーキットを見学させてもらいましたが、レースカーが目の前を通るときは大きな爆音で、想像以上の迫力があります。でも、そこでビデオ通話してくださいといわれても、たぶん無理でしょう。障がいのある方だけでなく、そうでない方もチャットの方が使いやすいのではないか。そんな気づきも、現場で試してみたいと思います。

最後に本コンテストにかける想いをお願いします!

要配慮の方と社会が、自然にふれあえる機会をつくりたいと願っています。

コンテストの取り組みの延長として、袖縁アプリが身近にあれば、どこに行っても安心できる世界を実現したい、というのが1つです。もう1つ、支援する側も慣れていない状況を、変えるきっかけになればいいという思いもあります。

私自身、この開発が始まるまで、障がいのある方の問題にはまったく携わっておらず、無知無関心ともいえる部類でした。今は共生社会の実現を目指していますが、流れを一気に変えることはできません。袖縁アプリでやりたいのは、要配慮の方々と、社会が触れ合う機会をつくることです。最初は戸惑うかもしれませんが、お互いに慣れ、少しずつ浸透していって、障がいのある方というくくりではなく、例えば「赤い服が好きな○○さん」など、人格を持った認識へと変わってほしいと思います。そうなったときに心が通う共生社会が実現するはずですし、そういう社会へ私たちなりのやり方で貢献していきたいです。

障がいのある/なしの垣根を越えるアプリを開発。 人と人の心が通う共生社会を実現したい。
【株式会社袖縁】実証チーム紹介 | Mobility for ALL 2023
プロジェクト代表者
代表者写真
プロジェクト代表者
友枝 敦
電子工学から第二次AI、ソフトウェア工学のR&Dなどで事業企画に従事。
2016年12月から袖縁としての活動を開始し、2020年2月(株)袖縁で社会起業。
現在、日本福祉のまちづくり学会共生DX特別研究委員会で委員長を務める。
トリセツ付どこでもインターホンで困っている人へ楽しめる環境の提供
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