今回考案したアイデアの紹介をお願いします!
スマートグラス+3Dカメラが実現する立体映像の実用化を目指しています。
ロービジョンの方のためのシステムをもとに、スマートグラスと3Dカメラを使い、立体的なレース映像を楽しんでいただけるシステムになります。ライブ・ビデオ・キャプチャーを組み合わせることで、レースの立体視だけでなく、ナビゲーションで会場内を移動したり、友人や家族、スタッフとの交流を深めることも可能です。
レンズから入って来た情報をすべて、3Dデータとしてスクリーンに映し出すことで、映像をズームイン/アウトする機能がメインとなり、簡単なナビも搭載しているため、進むべき方向を示すこともできます。
スマートグラスなどを使い、視覚障がいのある方を補助する取り組みは他にもありますが、3D映像の解析度の高さ、ズームイン/アウトの速さ・スムーズさが私たちのシステムの特徴であり、強みになります。使用しているのは、248メガピクセルの高性能カメラです。
具体的にはドライバーの統計情報、スピードや順位などのライブカーデータ、フィールドからのカメラフィード、レーサーのキャビンビューなどの追加情報をユーザーに提供しながら、レース体験を補強していきます。こうした情報はすべて、デバイスの視界内で簡単に選択可能です。
今回はロービジョンの方の利用を想定していますが、デバイスを装着することで、あらゆる観客のレース体験を向上させることにもつながります。
また、医療現場でのニーズもあると考えています。手術のときにこのデバイスを装着すると、3D映像を瞬時にキャッチできるため、より効率的なオペレーションが可能になるでしょう。医療に限らず、スムーズにズームイン/アウトすることが必要な職業でも利用価値があるはずです。目の不自由な人が楽しむことに加え、作業を効率化、高度化するために効果的なシステムにもなり得ます。
発案のきっかけは何ですか?
障がいのある方にもモータースポーツを楽しんでもらうためです。
視覚障がいのある方でも、サーキットでレースを楽しんでいだたけるように、というのが開発の始まりです。
利用された方からはどのような声が寄せられていますか?
ライブならではの臨場感を、参加する人に楽しんでもらいたいと思います。
3Dのシステムに関しては、今回の実証実験がお披露目の場となります。2Dのシステムは試験を実施しており、好意的な評価をいただきました。
開発の方向ですが、視覚障がいがある方をサポートし、ライブイベントを楽しんでいただこう、というのが大きな柱になります。友人や家族と一緒に出かけ、ライブならではの臨場感を味わっていただくことが大きな目標です。
実証に向けて苦労していることは何ですか?
いろんな症状に合うよう、最適にアジャストする難しさがあります。
ロービジョンといっても、症状は人によって異なります。全体的に見えづらい方もいれば、トンネルビジョンで真ん中に見えない部分があったり、視界が部分的に欠けていたり、あらゆる症状に対応できるように開発するのが大変なところです。今のデバイスでは解決できない症状については、今後、別のVRソリューションの採用も検討しています。
本コンテストに参加した理由を教えてください!
サーキットという、屋外の非日常空間での実証に魅力を感じました。
NBAなど、アメリカのバスケットボール関係の大きなスポーツイベントでの実証実験を検討していましたが、このコンテストの存在を知り、サーキットという選択肢があることに気づきました。モータースポーツの場合、高速でサーキットを疾走するマシンを3Dカメラでどうとらえ、キャプチャーするか、スピードとの勝負になります。スピードの壁をどう超えるかが課題になり、高い壁ですが、やりがいも大きいと感じています。
本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?
レースカーの映像を正確に投影できるのか。ナビゲーションの有用性も検証していきたいと思います。
ハイスピードで周回するレースカーの動きを、3Dカメラがとらえ、情報として瞬時に整理できるのかを確認する場にしたいと思っています。映像を音声やリモコン、ボタン操作でズームイン/アウトしたり、マシンとドライバーの情報をライブで提供して、視聴体験を向上させたりする取り組みもあります。
また、ロービジョンの方にサーキット内のナビゲーションを提供し、移動するための補助も行います。
今回の実証実験をきっかけに、目の不自由な方のニーズがあると判断できれば、日本市場への参入を具体的に検討していくつもりです。
最後に本コンテストにかける想いをお願いします!
自律的に出かけることを、人間としての生き方を高めるきっかけにしてほしいと思います。
私たちがずっと大切にしている哲学は「人間としての生き方を高める、エンハンス(強化)する」です。世の中のすべてのロービジョンの方が、介助するアシスタントがいない状態でも、自律的にいろんなところに出かけ、楽しみ、自由を得られる手伝いをしていきたいと思います。医療業界でも、私たちのテクノロジーを通じて仕事の質、生活の質を高めることに貢献していきたいです。 本コンテストへの参加を契機に、大きく踏み出したいですね。