今回考案したアイデアの紹介をお願いします!
音楽を振動で伝えるソリューションを提案しています。
Danielさん 2014年にスタートした「Music Not Impossible」、耳に障がいのある方向けに開発した、音楽を振動で伝えるソリューションになります。どんな聴覚レベルの方でもつながることができ、音楽はもちろん、ライブ会場の歓声や興奮など、エモーショナルな部分も伝えられるプラットフォームの開発を進めています。
Patrickさん ベースになるのはハプティクスと呼ばれる触覚技術です。これは、利用者に力や振動、動きなどを与えることで、「実際にモノに触れているような感触」をフィードバックする技術です。
私たちの開発は、ハプティクスの中でも「アート・オプ・ハプティクス」と呼ばれる領域での取り組みで、ベスト型デバイスを身に付け、音や歓声など、その場の臨場感を肌で感じながら、周囲とのコミュニケーションを可能にします。
チームのメンバーは、大学の音楽プログラムの中で、ハプティクスの技術をどう活用できるかを学生たちに教える立場にあります。振動は誰にでも感じられるもので、その場の瞬間を共有することで、アルツハイマー病やパーキンソン病などの患者さんとのコミュニケーションにも応用可能です。学生たちに開発に参加してもらうことで、将来的には、ハプテイクステクノロジーの可能性を広げてもらうことを期待しています。
利用された方からはどのような声が寄せられていますか?
特に若い世代から、レースの興奮を感じられたと高い評価を受けました。
Danielさん 昨年の実証実験にも参加していますが、サーキットでの運用は初めての試みだったため、いろんなことを発見するフェーズでした。
検証したのは、レースカーの音と振動、観客席の興奮を振動で伝えるデモンストレーションです。目の見えない方も、耳が聞こえない方も含め、特に若い参加者が本当に楽しんでくれて、期待以上の成果を残せたと思います。まわりの方たちと感動を共有し、レースの興奮を楽しめた、という反応もありました。
本コンテストに参加した理由を教えてください!
耳に障がいがあって、エンターテインメントを楽しめることを伝えられると思いました。
Danielさん 昨年はサーキットのアクセシビリティの解決に重要さを感じ、参加しました。若い世代の方に、たとえ耳が聞こえなくても、レースのようなエンターテインメントを体感できる、楽しめることを伝えるためにも、有意義なチャレンジだったと思います。前回、浮かび上がった課題を解決するため、今回も参加を決めました。
Flaviaさん 日本での実証実験を通じて、いろんな可能性を感じることができました。問い合わせも多くいただき、今後成長していくためには、ハードウエアとソフトウエアの改善、進化はもちろん、アメリカに次ぐ市場が必要になるでしょう。
昨年の実証実験を通じて、日本のみなさんとも良好な関係を築くことができましたし、今後、日本市場での展開を考えていく上でも、このコンテストへの参加は大きな意味を持ちます。
Patrickさん いろんなイベントにハプティクスのデバイスを使い、クリエイティブな活用を生み出すためのイノベーションハブになりたい。そんな長期的な目標もあります。
本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?
専用のスーツを着て、EVレースの迫力を体感できる提案も予定しています。
Danielさん 2つの課題解決に向けた実証実験を行う予定です。1つはアクセシビリティ、もう1つはエンゲージメントです。
ゲーミング市場の拡大によって、若い世代の興味関心は音楽や映画からゲームに向かう傾向があるため、今回はゲーミングコンポーネントを取り入れています。これまでは、周回するレースカーの音を振動に変えているだけでしたが、今回は過去のレースの様子をスクリーンに映し、選択したドライバーの映像が映され、音も振動も映像に合わせて切り替わります。レース全体を見たり、パーソナライズされた音、臨場感ある映像を体感するなど、ゲーミングコンポーネントを使うことで、いろいろな楽しみ方ができるようになっています。
最近はEVのレースも増えていますが、EVはもともと走行時の音が小さいため、レースカー独特のエンジン音、エキサイトメントを感じにくくなりがちです。私たちのハプテイクススーツは、EVレースカーの音を少し増幅し、振動を加えることで、迫力あるレースとして楽しめるような提案も行います。将来的には、家にいてもサーキットにいるような音と振動を体感できるようになるかもしれません。
最後に本コンテストにかける想いをお願いします!
若い世代も巻き込み、将来はイノベーションラボに発展させる計画もあります。
Danielさん 昨年参加したときは、想像していた以上の歓迎を受け、私たちの取り組みへの理解と尊重も感じられ、良い思い出がたくさん残っています。ひと言で日本といっても、いろんな地域があり、いろんな方々がいます。日本をもっと広く知り、吸収していきたいです。そして、コンテストで築いた関係を、もっとソリッドなものにしていけたらうれしいですね。
こうしたイベントがすべての人にとって利用しやすい存在になり、若い世代を巻き込むことで、将来的にはイノベーションラボのような取り組みに発展させていきたいです。前を見て、そんな冒険をしていけたらいいと思います。
触覚は人間にとってとても大切な機能の1つです。その触覚を活用して、人と人をつなぎながら、感動やよろこびを共有できる環境をつくりたいです。Mobility for ALLに戻って来られたことはとてもうれしく、感謝もしています。日本でいろいろな取り組みをスタートさせるきっかけにしたいと思います。