mairu開発者の大村さん、田上さん、柴田さんにインタビューしました!
今回考案したアイデアの紹介をお願いします!
利用者と福祉タクシーを簡単にマッチングするアプリを開発しています。
大村さん 開発した「mairu」は、福祉タクシーなどを検索し、簡単に比較、予約できるプラットフォームです。利用者の方々が条件にもとづいて事業者を検索する仕組み、福祉タクシーを見つけたい利用者の呼びかけに応じて事業者が対応できる仕組みの2つの機能から構成されています。福祉タクシーや民間救急車を探そうとすると、何回も電話をかけて複数の事業者から自分に適した事業者を探し、予約しなければいけませんでした。そういった課題を解決するため、事業者と利用者の間で福祉タクシーのスケジュールなどの情報を共有することで、誰でも、いつでも、移動手段を確保できるようにできればと思います。
事業者の方々には、車椅子やストレッチャーがあるのか、酸素ボンベなど医療的な介助を提供できるのか、といった情報を登録していただきます。同時に、埋まっている時間帯や対応可能な時間帯も登録していただき、プラットフォーム上で利用者と共有できる環境を用意します。
利用者の方々には、どこからどこまで行きたいのか、何時から利用したいのか、どういう支援が必要なのか、といった情報を入力していただき、絞り込みをかけ、その条件に対応できる事業者だけを表示します。いくつもの事業者に連絡をとり説明する、という手間を解消できるわけです。スケジュール的につながりやすい時間帯をあらかじめ提示することで、1回で予約をとれるところまで持っていきたいと思っています。
また、公式LINEアカウントでどういう条件で利用したいのか、いつ、どこからどこまで行きたいのか、車椅子やストレッチャーが必要かなどの情報を入力すると、すべての事業者に通知することもできます。事業者側が対応可能ボタンを押すと、入力した利用者に通知があり、そのまま予約を完了できます。情報伝達に不安があれば、電話をかけて確認もできるので、スピーディーかつ安心して利用できるのではないでしょうか。
発案のきっかけは何ですか?
移動が困難な人に対して、何か出来ないかと考えたのが始まりでした。
大村さん 子どもの頃から移動していろんな人に会い、何か体験することの楽しさを意識していたのが開発の原点かもしれません。コロナ禍でずっと家にいなくてはいけない状況になり、誰とも会えず、新しい体験もできない日が続きました。移動の意味を改めて考えるようになったし、コロナ禍を過ぎても、障がいがあるなどの理由で移動に困っている人がいることに目が向き、何かできないかと思ったのがこのプロジェクトの始まりです。
柴田さん 祖父と介護施設から野球観戦に出かけるとき、何度も福祉タクシーの事業者に連絡をとったのですが、そもそもどの事業者を選べばいいのかわからなくて……。福祉タクシー自体の理解も足りませんでしたが、予約で難しいと感じたのは、電話がなかなかつながらず、事業者によって車椅子のレンタルが無料だったり有料だったり、考えなければいけないことが多いところでした。最適な事業者を探すのに時間がかかり、とても不便に感じた経験がきっかけとなっています。
利用された方からはどのような声が寄せられていますか?
連絡に手間がかからない、効率的に時間が使えるなど、好意的な評価を聞いています。
大村さん 何回か実証実験を行っていますが、「いろんな事業者に連絡をとる手間がなくなりました。」「1回でつながるから予約にかかる時間がぎゅっと短縮されました。」などの評価を利用者の方々からはうかがっています。平均して30分から1時間、場合によっては2時間以上かけて、1回の移動の福祉タクシーを予約しているという方もいらっしゃいました。時間が短縮されることで、かなり喜ばれているという手応えを感じています。
事業者からは「利用者にとってのつながりにくさは事業者にとっても大きな課題だったが、mairuを通じて一気にサービス提供の機会が増えました」「今までは、予約が来ずに待っている時間が手持無沙汰だったが、mairuからコンタクトがあったらすぐに対応できる環境を整えておくことで、効率的に時間を使えるようになりました」という喜びの声をいただいています。
実証に向けて苦労していることは何ですか?
大学生チームのため、学業との両立が大きな課題になっています。
大村さん 私たちは大学2年生3人のチームで、システムの開発、運用を行っています。開発にあたっては、多くの事業者、利用者の声を聞かなくてはいけないので、いろんなところを駆けまわり、話を聞き続ける、言ってみれば泥臭い活動が大変です。でも、そこがやりがいや楽しさを感じる部分でもあります。
最も苦労しているのは学業との両立です。大学の近くに開発の施設があるのですが、講義の合間にそこに集まってミーティングをして、走って講義に戻ることもあります。空き時間を何とかやりくりしながら学業との両立を図っています。
大学生として活動していることで、ある種の学びの要素があるし、学生だからこそリスクがとれる、というところもあると感じています。社会人になってからこの活動ができるかというと、専業でなければ難しいと思います。「将来の自分の進路、キャリアにつながるかもしれない」そう決めて飛び込めたのは、大きな強みだと思っています。
また、大学生がこういったことに取り組んでいる様子は、事業者の方、障がいのある方や高齢者から、結構喜んでいただけているようです。いろんな方々に応援してもらいながら、プロジェクトが進んでいると実感するところもあり、挑戦してよかったと思います。
本コンテストに参加した理由を教えてください!
移動をすべての人に届けるというコンセプトに共感したためです。
大村さん 今年の3月、大学からの派遣でアメリカのシリコンバレーに渡航する機会がありました。自分たちの取り組みを話す中で、ある日本人の方から、移動をすべての人に届けるという観点で活動しているプロジェクト、そしてコンテストがあると教えていただいたのがきっかけです。締め切り間近だったのですが、帰国してから急いで準備をし、応募しました。
参加して感じたのは、同じような領域に取り組まれている企業の方、あるいはスタートアップの方々と出会うことの意義です。自分たちでプロジェクトを進めていると、どうしても視野が狭くなってしまったり、目の前のことしか見えなくなったりすることもあるのですが、自分たちよりも先に進んでいる人たちの取り組みを見ると、我々もあそこまで行きたいと強く思います。
また、近い立ち位置の方々と出会うことで、お互いに刺激し合い、吸収し合いながら進化していく場にもなりますし、こういう場があるだけで、私たちのモチベーションも開発も、先へ先へと進めるきっかけになると思います。
本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?
利用体験をサポートしながら、システムの有用性を検証していくつもりです。
大村さん 身体的な制約から移動の困難を抱えている方々に、気軽にサーキットへ来てもらい、楽しんでいただく体験をサポートしながら、システムの機能、展開方法を検証します。事業者の目線では、システムに登録していただくプロセスや、スケジュール共有が普段の業務の負担にならないのか、mairuに登録することで予約が増えるのか、新しい利用者との出会いがあるのか、などのメリットが生まれるかを検証します。
利用者の目線では、mairuは使いやすいか、事業者との情報共有・予約までの流れがスムーズに行えるか、今後も移動のためにこうしたサービスを利用したいか、などを調査していきます。
最後に本コンテストにかける想いをお願いします!
自由な移動で、人生が豊かになることを提案し続けていきます。
大村さん 私たちは、望む場所や行きたい場所に誰でもたどり着ける社会の実現を、ビジョンとして掲げて活動しているスタートアップです。移動を通じていろんな人の人生が豊かになることを、私たちなりの方法で提案し、前に進み続けたいと思います。